e:HEV

e:HEV(イー エイチイーブイ[1])は、本田技研工業が開発したストロングハイブリッドシステムであり、同社のプラグイン・ハイブリッド車の内部基幹システムとしても用いられている[2]。
本項では旧称の「SPORT HYBRID i-MMD(スポーツ・ハイブリッド・アイエムエムディー)[注釈 1]」についても説明する。
概要
2013年1月、これまで使われていたHonda IMAシステムを代替する3つのハイブリッドシステム[3]の1つとして、アメリカにて9代目アコードを基にした2代目アコードハイブリッドに搭載された。
2019年10月には、本システムが小型車への適用も可能となったことから、3つのハイブリッドシステムを本システムに集約するとともに、名称を「e:HEV(イーエイチイーブイ)」に改めた[4][5][6]。i-MMDとして搭載された車種はマイナーチェンジで随時名称が変更された。2020年2月にフルモデルチェンジされた4代目フィットや10代目アコードから「e:HEV」として搭載された。また、これに合わせて電気自動車は「e:」、プラグインハイブリッドカーは「e:PHEV」、水素燃料電池自動車は「e:FCEV」[7]と名称を統一している。
特色
従前のハイブリッドシステムのIMA、1モーターハイブリッドシステム・SPORT HYBRID i-DCDやその上位版ともいえる3モーターハイブリッドシステム・SPORT HYBRID SH-AWDなどモーターがエンジンの支援に回っているのとは異なり、エンジンでの駆動を高速巡航時などに限定することで、複雑な多段トランスミッションを不要にした。シリーズ型[注釈 2]とパラレル型[注釈 3]の良い所を兼ね備えた低燃費ハイブリッドシステムとなっている。
システムは、直列4気筒アトキンソンサイクルエンジンに2モーター内蔵電気式無段変速機(発電用・走行用モーター2基と、エンジン直結クラッチ搭載)を組み合わせる。通常、車輪の駆動はモーターのみで行い、エンジンは発電を担当する。高速巡航時などではエンジンを直接クラッチで駆動軸につないで走行する[8]。走行状況に応じて走行モード自動で切り替えて走行できるというのも特徴とされている。
- EVモード:文字通りバッテリーの電気のみで走る「電気自動車」モード。バッテリーの電気で走行用モーターを作動させ、その力で走行する。
- ハイブリッドモード:バッテリーの電気だけでは力不足になる際にエンジンを同時に併用するモード。エンジンは直接車を動かさずに発電用モーターを回し、発電した電気で走行用モーターを動かし、EVモードと同様に走行する。なお、余った電気はバッテリーに蓄電される。
- エンジンモード:エンジンの力で直接タイヤを回すことは通常の車と同じだが、高速走行(70km/h以上)時のみ使用されるため、変速機構は持たない。加速時などで駆動力が不足する場合に、走行モーターが駆動力を補う「アシスト機能」が作動する。
2023年に発売された11代目アコードでは、従来同軸に配置されていたエンジンと走行用モーターを異なる軸に配置することで、モーター走行での最高速度の向上とエンジン走行時の低回転化が図れるよう改良された[9]。
搭載車種
搭載車種によってエンジン排気量が2Lと1.5Lで分かれている。※の付与される車種は「e:PHEV」の設定車種。
2.0L直噴エンジン仕様「スポーツe:HEV」
2.0Lエンジン仕様
1.5Lエンジン仕様
二輪車のe:HEV
2021年1月28日に発売された4代目PCXのハイブリッドモデルが「e:HEV」の名称とロゴを使用していた[14]。
ただしシステムは四輪車のものとは異なっており、エンジン主体でモーターがアシストするパラレル型のハイブリッドシステムとなっており、「Honda IMAシステム」に近い構造になっている。このハイブリッドシステムは3代目PCXにおいて初採用となり、当時は「PCX HYBRID」と名乗っていたが4代目へのモデルチェンジに伴いホンダ全体でハイブリッドシステムの名称を統一するという目的から「e:HEV」の名称が使用された[注釈 4][15]。
その後「PCX e:HEV」は2022年10月頃に生産を終了し、後継モデルも設定されていないため、二輪車でのハイブリッド車は消滅した[注釈 5][16]。
脚注
注釈
- ↑ i-MMDはIntelligent Multi Mode Drive(インテリジェント・マルチ・モード・ドライブ)の略。
- ↑ エンジンの動力による直接駆動が出来ないため、長い登板や高速巡航が主体の場合は効率が上げにくい。
- ↑ モーター1基でも成立可能だが、多段変速機が必須な事とモーターの効率的運用がしづらい。
- ↑ 2021年時点でホンダはi-DCDで継続販売中の車種(フリード、シャトルなど)を除いたハイブリッド車の名称を「e:HEV」に統一しており、またi-DCD搭載車種も数年以内にモデルチェンジや生産終了でe:HEVに統一されることはほぼ確定的な状況であった。
- ↑ 同様に走行関連の機構の名称のうち四輪車と二輪車で共有しているものとして、VTECが存在する。なお二輪車側は「HYPER VTEC」という名称であり、採用車種は既に生産を終了しているほか、同じ名称でも四輪車と二輪車で機構が全く異なることもe:HEVと共通している。
出典
- ↑ “Honda”. Honda e:HEV | Honda. 2025年1月18日閲覧。
- ↑ “プラグインハイブリッドシステム SPORT HYBRID i-MMD Plug-in|テクノロジー|Honda公式サイト”. Honda公式サイト. 2025年1月18日閲覧。
- ↑ “軽量コンパクトハイブリッドシステム「SPORT HYBRID Intelligent Dual Clutch Drive」を開発 | Honda 企業情報サイト”. Honda Global. 2025年1月18日閲覧。
- ↑ “第46回 東京モーターショー2019 代表取締役社長 八郷隆弘 スピーチ内容 | Honda 企業情報サイト”. Honda Global. 2025年1月18日閲覧。
- ↑ “Honda独自の高効率電動化技術を「Honda e:TECHNOLOGY」として展開 | Honda 企業情報サイト”. Honda Global. 2025年1月18日閲覧。
- ↑ “第3章 独創の技術・製品 第2節 四輪車 第6項 ハイブリッド・システム | 本田技研工業 75年史 | ヒストリー | Honda 企業情報サイト”. global.honda. 2025年1月18日閲覧。
- ↑ “新型燃料電池自動車「CR-V e:FCEV」を発売 | Honda 企業情報サイト”. Honda Global (2023年). 2025年1月18日閲覧。
- ↑ “Honda e:HEV”. Honda e:HEV | Honda. 2022年12月26日閲覧。
- ↑ “ハイブリッドシステム Honda e:HEV エンジン搭載別ラインアップ|テクノロジー|Honda公式サイト”. Honda公式サイト. 2025年1月18日閲覧。
- ↑ “新型「INSIGHT」を発売 | Honda 企業情報サイト”. Honda Global. 2025年1月18日閲覧。
- ↑ “新型「FIT」を発売 | Honda 企業情報サイト”. Honda Global. 2025年1月18日閲覧。
- ↑ “新型「VEZEL」を発売 | Honda 企業情報サイト”. Honda Global. 2025年1月18日閲覧。
- ↑ “新型「FREED」を発売 | Honda 企業情報サイト”. Honda Global (2023年). 2025年1月18日閲覧。
- ↑ “新型「PCX」「PCX160」「PCX e:HEV」を発売 | Honda 企業情報サイト”. Honda Global. 2026年5月22日閲覧。
- ↑ “PCX HYBRIDのハイブリッドシステムの概要|テクノロジー|Honda公式サイト”. Honda公式サイト. 2026年5月22日閲覧。
- ↑ “PCX e:HEV、ベンリィ110生産終了”. 岡島モータークラブのスタッフブログ (2022年4月29日). 2026年5月22日閲覧。
関連項目
外部リンク
- Honda e:HEV|Honda公式サイト
- e:HEV解体新書(1) VTECに並ぶ独創のハイブリッド技術 e:HEV。開発陣にジャーナリストが迫る | Honda Stories | Honda 企業情報サイト
- Accord Hybrid Press Information 2013.6.20(平成25年6月 Accord Hybrid 発表時)
- 本田技術研究所 論文公開サイト