日本の定理

初等幾何学あるいは和算における、円に内接する多角形 (cyclic polygon) に関する Japanese theorem[注釈 1] (日本の定理) は、任意に与えられた多角形が円に内接するならば、その任意の三角形分割に対して内接円の半径の総和が常に等しいことを述べる。この定理の四角形に対する特別の場合が丸山良寛の定理であり、これはその一般化ということになる。日本数学オリンピック財団(JMO)のロゴマークはこの定理の図をモチーフとしている[2]。

名称は日本人数学史家三上義夫の論文 (Mikami 1905)[3] によってこの定理がはじめてヨーロッパに紹介されたことに由来すると思われるが、三上自身はこの定理は清国の学者から三上の知人である数学者に宛てられたものであるとして、先の論文においても a Chinese theorem と称しており、また定理の証明を記した (三上 1906)[4] でも「支那ノ一定理」と呼称している。[注釈 2]

一つの六角形のふたつの分割例
緑の円の半径の合計=赤の円の半径の合計

概観

定理 (The Japanese Theorem[6])
円に内接する任意の多角形において、1頂点を通る弦で分けられるすべての三角形の内接円の半径の和は、どの頂点に関しても等しく一定である。
定理の逆[7]
与えられた多角形は、その三角形分割における内接円の半径の総和が三角形分割のとり方に依らず一定であるとき、円に内接する。

定理の証明は、四角形の場合(丸山良寛の定理)が示されれば一般の場合も容易に与えられる[8]。あるいはカルノーの定理からも示せる[7]。

注

注釈

  1. ↑ 林鶴一が a Japanese theorem[1] と呼称してヨーロッパに紹介した定理(これもまた和算の算額問題に関連したものである)と混同してはならない。
  2. ↑ 三上自身にあっても中国におけるこの定理の起源については不詳であったと思われるという[5]

出典

  1. ↑ Hayashi, T. (1911), “Un théorème Japonais”, Mathesis 4 (1): 208–209
  2. ↑ 日本数学史学会 編『数学史事典』丸善出版、2020年、85頁。ISBN 9784621305225。
  3. ↑ Mikami, Y. (1905), “A Chinese theorem on geometry”, Archiv der Mathematik und Physik 3 (9): 308–310
  4. ↑ 三上義夫「幾何学ニ於ケル支那ノ一定理」『東京物理学校雑誌』第172巻、1906年3月。(明治39年3月)
  5. ↑ 上垣 2001, p. 30, §6.
  6. ↑ Mackinnon, Nick (1993), “Friends in youth”, The Mathematical Gazette 77: 20–21, "The Japanese Theorem: Triangulate a cyclic polygon from one vertex. The sum of the radii of the in-circles of the triangles is independent of the vertex chosen."
  7. 1 2 Weisstein, Eric W. "Japanese Theorem" in MathWorld
  8. ↑ 林鶴一「三上義夫君ノ「幾何学ニ於ケル支那ノ一定理」ト題スル論文ニ就テ」『東京物理学校雑誌』第176巻、1906年7月。「而シテ此定理ガ四角形ニ就テ証明セラレタルトキハ之ヲ任意ノ多角形ノ場合ニ拡張スルコトハ三上君ノ示サレタルガ如ク容易ナリ」

参考文献

関連項目

外部リンク