TR-580

TR-580
種類 主力戦車
原開発国  ルーマニア
諸元
重量 38.2 t[1]

主兵装 100mmライフル砲[1]
副兵装 12.7mm重機関銃、7.62mm機関銃[1]
エンジン ディーゼルエンジン[2]

TR-580は、1970年代にルーマニア社会主義共和国で開発された主力戦車[1][3]。ソ連製のT-55主力戦車をベースにした改良型で、ルーマニア軍で運用されたほか、輸出も行われた[1][3]。

名称のTRは「Tank Romanesc」の略で、580はエンジン出力を示している[2]。TR-77-580との別称もある[2]。

設計

原型となったT-55

TR-580のベースになったのはソ連製のT-55主力戦車で、元々ルーマニアではTR-77の名称でコピー生産が行われていた[1]。TR-580はT-55(TR-77)にルーマニア独自の改良を施したモデルであり、武装や砲塔をはじめ基本的な設計はほぼ同型である[1][3]。

最も大きな変更箇所は足回りで、T-55が支持輪のない片側5個の転輪を持っていたのに対し、TR-580では上部に支持輪が追加され、転輪はやや小型の片側6個という、西側諸国の戦車に近いスタイルとなった[1][3]。また、履帯側面には大型のゴム製サイドスカートが追加されている[1][3]。さらに、車体前面には箱型の増加装甲が装着されているほか、フェンダー前面がより直線的な形状になっているなど、いくつかの相違点がある[1]。

本車をベースに発展したさらなる改良型として、TR-85が開発されている[4]。

製造

製造時期や製造数は資料により異なり、1979年から1985年にかけて405両が製造されたとする資料[2]や、1977年から1986年にかけて1,000両以上が製造されたとする資料[5]などがある。年間500両という生産目標がたてられていたが、結局達成されることはなかった[2]。

運用

運用国や運用数は資料により異なる。

 エジプト
200両分のライセンス製造権を購入し、のちにラムセス2世戦車のベースとなったとする資料がある[3]。
イラクの旗 イラク
イラン・イラク戦争で損耗した戦車の補充用として輸入し、実戦に投入したとする資料[3]があるが、輸出は行われていないとする資料[1]もある。
 ルーマニア
ルーマニア陸軍が398両、ルーマニア海軍歩兵が120両を配備したとする資料[3]や、1992年時点で陸軍が413両、海軍歩兵が187両を保有していたとする資料[6]などがある。

脚注

出典

  1. 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 鈴木 2003, pp. 32–33.
  2. 1 2 3 4 5 “Romanian Army - TR-77 / TR-580”. www.globalsecurity.org. 2026年4月25日閲覧。
  3. 1 2 3 4 5 6 7 8 一戸ほか 2006, p. 50.
  4. ↑ 一戸ほか 2006, p. 49.
  5. ↑ 毒島 2011, p. 142.
  6. ↑ IISS 1992, pp. 82–83.

参考文献

  • The International Institute for Strategic Studies (IISS) (1992) (英語). The Military Balance 1992-1993. Brassey's. ISBN 978-1857530278 
  • 一戸崇雄ほか『グランドパワー5月号別冊 世界の戦闘車輛 2006〜2007』ガリレオ出版、2006年5月1日。 
  • 鈴木浩志「現用のT-54/55戦車近代化型」『月刊PANZER』、アルゴノート社、26-47頁、2003年7月。 
  • 毒島刀也『世界の傑作戦車50 戦場を駆け抜けた名タンクの実力に迫る』SBクリエイティブ、2011年3月25日。ISBN 978-4-7973-5995-4。 

関連項目